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「二人とも、起きないと風邪引くよ?」
悠吾は2人に声をかけるが返事が無い。ただの屍のようだ。
仕方ないので揺すって起こそうとしたその時、魔理沙が瞼を開けた。
「悠吾ぉ~私とアリスを放っておいてどこに行ってたんだ!?」
「があぁぁっ!!痛い痛い痛い!!」
魔理沙は急に起き上がると悠吾の右腕にしがみついた。実は悠吾の体の傷は見た目しか治っていない。中身はボロボロのままだ。
波打つような激痛が腕から全身に走る。
「痛いのなら……飲んで忘れましょう♪」
今度はアリスが空いてる左腕にしがみついた。さっきの悠吾の断末魔に近い叫びが聞こえたようで、魔理沙のように強く掴みはしないがそれでも少し痛い。
「アノ……フタリトモヨッテマスカ?」
悠吾は恐る恐る言葉にしたせいで、とても不自然なカタコトの上に声が上ずってしまう。
(……普通に考えればそうとう嬉しい状況なのになぜ僕は冷や汗をかいているのだろう)
「「うふふ、酔ってなんかいないわ(ぜ)」」
愚問だった。完全に悪酔いしてる。
「えーと……僕はまだお酒を飲めない年齢なので……」
「ここは幻想郷だぜ?」
「諦めて素直に飲みなさい♪」
(言葉では何を言っても無駄か、なら身体強化を使って……って体に魔力が送れない!?)
「なっ……どうして!?」
「抜け出したいなら空飛んでみたらどうだ?」
(そうだ……って飛べないぃぃ!?)
普段の要領で飛ぼうとするが、魔力は流せない。まるで空回りするモーターのように。
「ふふふ、焦ってるわね♪」
悠吾はテンパりつつも声がした方を見ると、輝夜とてゐが何か企んだ笑顔で立っていた。
「やっ……やあ、久しぶりだね」
「ええ、お久しぶり。ちなみにえーりんの薬の効き目はどう?
確か副作用で今日は空を飛ぶ事と体を強化する事はできないはずだけど」
「まっ、嫌なことはお酒でも飲んで忘れようよ♪」
二人は笑顔でどこからか中身が入ったコップを取り出した。
「あ……ああ……ムグッ!」
それを強引に口の中に流し込まれたところで悠吾の意識と記憶は途切れた。
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