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アリスは気がついたら体が宙を浮いているようなまるで空を飛んでいる感覚に包まれていた。
尤もアリスは実際に飛べるのだけれど自分で飛んではいない。なんだか温かい感じがするので夢の中だと判断した。
心地よい感覚の中でアリスはふと宴会の事を思い出した。悠吾に二度も抱きついてしまった事を。思い出しただけでアリスは顔が赤くなる。
(急にあんな事して嫌われてなければいいけど……でも一回彼の頬を打っちゃったし……)
「悠吾……」
アリスは気がかりになって思わず彼の名を口にした。
(私らしくないわ……いつもなら誰かに嫌われてもどうとも思わないのに彼に嫌われたかもしれないと思うと……どうして?)
「アリス、どうかした?」
「えっ!?」
悠吾の声が耳に入って来たので目を開けると、アリスの心臓と思考は停止しかけた。
悠吾がアリスを抱きかかえて飛んでいて、体は密着し顔も近かったからだ。
「おはようアリス!」
悠吾の言葉と笑顔でアリスは我に返った。
「おっ、おはよう……ってなんで悠吾と!?」
アリスの顔が熱を持つが、なんとか平静を装ってとりあえず下ろしてもらい自分で飛び、悠吾の肩に乗っていた上海もアリスの肩に移す。
悠吾が状況を説明するには、朝になり宴会も終わっていてみんな帰ったので、先に起きた魔理沙の勧めで何時までも起きないアリスを抱えて帰る事にしたらしい。
(魔理沙、後で覚えてなさい……)
「ところで霊夢からこんなのもらったけど何?」
悠吾は腕輪から五枚の白いカードを取り出した。
「これはスペルカードよ。前に説明したじゃない」
「えっ!?だってアリスや魔理沙のと違って何も描かれてないよ?」
「当然よ、だってスペルカードは言わばその人特有の必殺技だもの。だから言わばそれはスペルカードの素で、あんたが作らないと意味がないの……作り方は私が教えてあげるから」
「わかったありがと!」
悠吾はアリスに屈託のない笑顔を向けてお礼を言った。悠吾に嫌われてないとわかったアリスは安堵の息をもらした。
(……偶にはこんな気持ちも悪くないかも)
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