第4章:紅魔館の門番

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本来なら追って咎めるところなのだが、悠吾は今それどころではない。 「あっ……アリス……その……体が……」 2人の体は完全に密着していた。アリスの大き過ぎず小さ過ぎずの胸の感触が悠吾の背中に伝わる。アリスも現状に気づき、ガバッと起き上がる。 「まっ魔理沙ーっ!!」 アリスは立ち上がって少しブツブツと呟いていたが、矛先は魔理沙に向かったようで後を追って門を通過した。 悠吾は数秒唖然としたところで門の前に立っていた人が気になった。立ち上がり急いで倒れているその人に近づいた。 「あの、大丈夫ですか?」 「…………」 悠吾はどこかチャイナドレスを思い出す緑の服を着た長い赤毛の女性に声をかけるが反応は無い。しかしよく見てみると外傷は無くて息もしている。命に別状は無いようだ。 「とりあえず……起きるまで待つか」 腕輪からタオルを取り出して湖の水に湿らせて彼女の額にのせる。チャイナドレスの女性は少しピクリと動いたかと思うとそのままスヤスヤと寝息を立て始めた。 「寝ちゃったよ……でもこの人……」 (なんていうか……寝てるのが凄い絵になるなー) 悠吾は思わず腕輪からノートと鉛筆を取り出すが、初対面の一切会話もしていない女性を誰からも許可をとらずに描く事に抵抗と罪悪感を覚える。 脳内で描きたいという悪魔と理性という天使が戦いを繰り広げていると恐怖と寒気が体に走った。 後ろに何かいる。恐る恐る振り返るとそこには。 「中国、貴方また魔理沙を止められなかったわね……それに、何度言ったらわかるのかしら……仕事中に寝るなって」 咲夜がニコリとした笑顔で立っていた。だがその笑顔には黒さが含まれていて青筋がピクピクしている。さらに手にはナイフを持っていた。悠吾は挨拶をしようと思ったがあまりの威圧感に声が出せない。 「……グゥ……」 「……お仕置きが必要ね!!」 一瞬の出来事、咲夜は何の躊躇いもなく手に持っていたナイフを中国と呼んだ女性に突き刺した。 そこで悠吾は恐怖に耐えきれず目を瞑った。足も震えて立ってる事もままならなくなり腰を抜かして地面に座り込んでしまった。
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