第4章:紅魔館の門番

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「先日の宴会に行ったお嬢様達から話は伺ってました。あとは射命丸さんのコレですね」 美鈴は一部の新聞を悠吾に見せた。 「見せてもらっていいですか?」 美鈴はどうぞと言って新聞を差し出した。悠吾はこの新聞は以前読もうとしたら急にアリスが破ったやつと同じやつだという事を思い出した。 「なになに……『幻想郷に新たな外来人現る!! 彼の名前は谷田川 悠吾と言い外の世界では極めて珍しい魔法使いだった。 彼の契約した召喚獣の一体として体は小さいが竜のムドがいる。彼はまだそれしか召喚獣は従えていない様子。 魔法使いという事もあってか同じく魔法使いの霧雨 魔理沙、アリス・マーガトロイドとは仲が良いようだ。現在はアリスの家に居候していて夜は毎晩大忙しと友人の魔理沙は語る。見た目とは裏腹に手を回すのは早いようだ。 アリスはその発言に対して否認してはいるがまんざらでもない様子で――』……なにこれ?」 悠吾は途中で声に出して読むのを止めたが、続きを黙読してみると自分の事を力のある魔法使いと書いてあったりアリスと恋仲といったデタラメな記事が書かれている。 「その反応からやっぱりガセネタですか。いつもの事だから気にしない方がですよ」 「……この新聞ってどれくらいの人が呼んでるんですか?」 「えーと確か……幻想郷全土にバラまかれてますね!」 「マジですか……ソイルさんから文はガセネタで有名って聞いてましたけど……実際に書かれるとなんかヘコみますね……」 悠吾は体育座りでその場に腰を下ろすと美鈴は大きく笑い声を上げた。 「はははっ、普通そこは怒るとこだと思いますよ?」 「そりゃ一応怒ってますけど……この新聞が配られた日のアリスの様子がどこかおかしかったので……」 悠吾は少し安心したと言おうと思ったが止めた。アリスにしてみたら記事の事はいい迷惑なのだろうから。 「はーっ……」 悠吾は先ほど口では怒っていると言ったが、自分の感情がわからなくなった。文にデタラメな記事を書かれて本当に怒っているのか、誇張表現でも自分を良く書かれて嬉しいのかはたまた呆れているのか。
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