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その日はいつもと一緒の普通の朝だった。
テレビでは、『東京ヒーローズウォー』の事一色だったけど、どうでも良かった。
だって、東京なんて興味ねーし。幼なじみのアイツは美形の為に頑張ってるらしいけど、面倒じゃないのかよ。
何で、人様の為に命懸けで戦うのか理解出来ない。
可愛い好みの女の子の為なら、頑張ってみるのも良い。
勿論、下心ありで。
パンを口に放り込んで、もぐもぐと咀嚼する。テレビに映っているのは、破壊されたビルだけど、現実味がない。
まるで、映画だ。
こん中で、命懸けに戦っている人間がいるなんて、信じられなかった。
「まっ、俺には関係ないか。」
幼なじみと親友は能力者だけど、俺は違う。何の力も持たない一般人だ。
そもそも、能力に目覚めるのは生まれつきか、人工的にくらいで、突如目覚めるなんて事例は滅多にないのだ。
だから、俺はこれからも平凡で平和な生活が送れると信じていた。
あの日までは―
―――――――――
「朱音!また遅刻だよ?」
「悪い、悪い。よく噛んで味わってたんだよ。」
「全く・・・、しょうがないなぁ。」
優しく微笑む緑の髪のコイツは、俺の親友ですっげえ良い奴。
今日も遊ぶ約束をしていて、学校に待ち合わせしていた。
この辺りは、まだ戦闘区域ではないんだけど、万が一の為に立ち入り禁止になっている。
人もいないから、貸切状態!良い遊び場だったりする。
「あのさ、今日はここで遊ぶの止めない?」
「へ?何でだよ。」
「ニュース見てないの?この近くで戦いがあるみたい。」
緑が心配そうに俯く。優しいコイツは戦いを見るのが嫌いだ。だから、巻き込まれる可能性があるなら、この場から去りたいのだろう。
「・・・まぁ、怪我はしたくないしな。」
「ありがとう、朱音。」
「ほら、行く・・・、あっ!」
時間を確認し、携帯をポケットに入れようとしたら、手が滑って携帯が落ちていく。
派手な音を立てて、携帯が地面を滑る。
「やっべ、怒られる!」
「大丈夫?」
「壊れてなけりゃ良いけど・・・。」
慌てて手を伸ばした瞬間―
携帯が真っ二つに割れました。
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