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「へ?」
「朱音っ!!」
グイッと緑に引っ張られ、地面へと派手に転んだ。
何すんだ!と叫ぼうとしたら、頭上を鎌鼬が飛ぶ。いやさ、風の刃って目に見えるんですね。緑が引っ張ってくれなかったら、俺、首なしじゃん。
・・・はは、笑えねー。
乾いた笑みを浮かべる俺に、緑は叱咤する。
「早く立って!能力者だよ!」
「ちょ、マジかよ!?」
数メートル離れた場所にいたのは、黄色のバンダナをつけた青年だった。まぁ、生気のない瞳してたけど。
「うげ、造られた奴なら言葉通じねえじゃん・・・。」
「早く逃げなきゃ・・・!」
「逃げるしかねえよな。」
見た所、能力者は疾風。緑と同じだが、向こうの方が戦い慣れている為に、勝てないだろう。
それに緑に戦いをさせたくない。
結果的に逃げるしかない俺達は、背を向けて走り出す。
「何処に、・・・逃げたらッ!」
「分かんねえ!でも、何で能力者が・・・!」
この近くで戦いがあるとはいえ、こんな所まで来る事は滅多にない。
それも、一般人を襲う事なんて・・・。
「何か災難だよなっ!」
「どう、しよっ・・・、うあッ!」
「緑ッ!?」
能力者が放った風の刃が、緑を襲う。
運悪く足に当たったのか、派手に緑が転けた。
「緑、大丈夫か!?」
「うっ・・・、だいじょ・・・。」
「・・・目標補足。始末する。」
すぐ後ろまで迫った能力者。俺は咄嗟に、緑の壁になるように立つ。
「緑、能力使って逃げろ。」
「朱音っ、何言って・・・。」
「お前一人くらいなら、大丈夫だ。」
「でもっ・・・!」
渋る緑に俺は怒鳴る。
「良いから!!俺はこのクソ野郎を一発殴りたいんだ。」
「朱音・・・。」
一般人と能力者の区別もつかない馬鹿に、簡単にやられるなんてムカつくじゃんか。
なら、最後くらいにやり返してやろうじゃん。一般人舐めんなよ!!
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