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能力者が手を振り上げる瞬間、俺は地面を蹴って拳を振り上げる。コイツの顔面に叩き込むように、拳を振り下ろした。
「間違えんじゃねえよ、このポンコツ!!!」
拳が当たる瞬間、どくんと一際高く胸が高鳴った後、全身から熱い何かが込み上げてきた。
それは塊となって、形となって能力者を襲った。巨大な火柱が、噴きあげ能力者を焼きつくす。
「うがぁああッ!!!」
能力者にとって大ダメージだったらしく、火傷を負いながらその場に倒れてしまった。
目の前の出来事に、俺は追いつけない。
「・・・今のなに?」
「今のって・・・、爆炎の・・・。」
「そうですぅ。爆炎の能力に目覚めたんですねぇ!」
第三者の声に俺達は振り返る。そこにいたのは、真っ赤なフリルのついた服に身を包んだ可愛いらしい少女だった。
大きなリボンに傘をさしていて。
いくら、一般人でも知っている。
千葉国を支配している姫咲えみるだ。
間近で見たのは初めてだが、可愛らしい少女にしか見えない。
千葉国を支配しているんだから、もっと悪どい顔をしているかと思った。
「怪我してる!大丈夫ですか?」
「あ、・・・その。」
「手当てしますからこちらへどうぞ!」
断る隙を与えられないまま、緑がズルズルと連れて行かれる。女の子だから、強く言えないのだろうけど、姫咲えみるの力強いな。
「朱音っ!」
「今いく!」
後を追いかけながら、姫咲えみるの部下であろう黒服の男達が、能力者を何処かへ連れていくのが視界に入った。
何だか、怖い想像をしてしまい、見なかった事にして、後を追った。
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