4人が本棚に入れています
本棚に追加
/55ページ
四肢に力を入れ、黒いカーペットのような床に手をつき立ち上がる…
目の前には男が立っていた
黒のシャツに、黒のズボン
それを見た瞬間体が強張る…
それを見た彼は苦笑しながら
「ああ、悪いね君にとってこの服装は少し…無神経だったかな」
男はゆっくり噛み締めるように喋る
空也と彼の距離は2メートルぐらい
空也は、ゆっくり息を吐き
「…いや、別に気にしてない。」
かすれる声で呟いた
彼は
「そうか、それなら良かった」
彼はにこりと笑った
その笑顔はこの場所には不釣り合いな笑顔だった
彼は
「さて、話は変わるが今君は君がどういう状況が分かるかい?」
彼は手をポケットに突っ込みこちらをゆっくり見つめる
彼は年は壮年よりやや若いか、青年が老けているのか、年齢がよく分からない容姿をしていた
ただ目鼻はすっきり整っており、髪はオールバックで固めている
その印象的な黒い瞳が空也を見つめる
空也は言葉を紡ぐように
「俺は…、確か、
刺されて…? 」
空也の脳裏にあの光景が蘇る
こちらを見つめる濁った目
三日月のように歪む口角
振り下ろさる刃物
はあ、はあはあはあはあ
空也は途端に呼吸が乱れる
その様子を彼はじっと見つめて呟く
最初のコメントを投稿しよう!