水無月 問題編

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 昔読んだ小説に、他人の心の扉の中に入り込むことができる霊能者を描いた、短編があった。 それは、短編集の中の一つだったんだけれど。  その小説の粗筋はこうだ。  他人の心の扉の中に入る事ができる超能力者は、ある夫婦から依頼を受ける。 それは、生まれたときから植物状態である一人息子の、心の中を覗いてほしいというものだった。 その夫婦は、息子が不幸を少しでも感じるのであれば、生命維持装置を停止させたいが、そうでないのなら、なんとか生かし続けたいと考えていた。 そこで超能力者が一人息子の心の中に入るのである。  その中には何があったか。  『波』だけがあった。
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