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「帰らない。
帰りたくない。
というか、歩くの面倒です。
……委員長は?」
「迷い中。
どちらかと言えば帰りたくないかな」
言いながら、委員長は僕の隣の席に座った。
「なんで帰りたくないの?
親と喧嘩?」
うーん、と眉間を寄せる委員長。
「おしいねー。
親と喧嘩じゃなくて、親が喧嘩。
巻き込まれたくないからさ」
ああ、そっちのパターンか。
よくある話だけど、深刻なこと。
「よく一年中、言い合ってられるよね。
飽きないのかしら?」
「日常になってるからじゃない?
喧嘩してる状態がデフォルトなんだよ」
「デフォルト?」
「ニュートラルって言った方が正解かな?」
「ああ、そういう意味ね。
確かに、あれが当たり前になってるわ、あの人たち」
彼女は嘆息した。
夕焼けに照らされた教室に、物憂げな彼女は、まるで一枚の絵のようだった。
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