月下の邂逅

3/18
前へ
/567ページ
次へ
そんな、教室の色彩以外はごく普通な高校の一年A組。 既に5月半ば、皆が自分の個性を表す色に髪を染めている。 性格が明るい生徒は黄や赤系、おとなしい生徒は緑や青系と、大抵は誰かと色がかぶっている。 しかし、このクラスには一年生の中で他に無い髪色の生徒が2人いる。 1人目は、聖水 遥 (きよみず はるか) 髪色は濃い紫。 それも、光が当たらないと黒に見える程の濃さである。 暗い色だが決して本人が暗いワケではなく、むしろ活動的で友達は多い方だ。 外見は清楚っぽいストレートの髪に少し高めの身長で黒髪が似合いそうな美少女だが、言葉遣いは堅く男っぽい。 2人目は、犬飼 源 (いぬかい げん) 髪色は灰色。 とはいえ、老人のような白髪混じりではなく、純粋に灰色。 こちらはまさにピッタリの色だと言えるだろう。 髪は少し長めのボサボサした無造作ヘアー。 学校では授業中でもひたすら寝まくる。 かと言って不良という訳ではなく、成績は上の中、特筆すべき行動もしない。 とにかく掴みどころのない人間なのである。
/567ページ

最初のコメントを投稿しよう!

159人が本棚に入れています
本棚に追加