159人が本棚に入れています
本棚に追加
「えー、高校に慣れてきたからといって、ハメを外し過ぎないように。
じゃあ、明日は朝8時にクラスのバスに集合な。号令!」
担任教師のあいさつが終わり、放課後。
この教師は新任教師の歓迎会で酔いすぎてハメをはずしまくることで有名なのだが、新入生にはまだそんな小ネタを知っている者は少ない。
遥は陸上部の練習が休みだと聞き、教室に残って友達の女子と雑談していた。
遥「明日は何を持って行く? バスの中で食べるお菓子は必須だろう」
女子「ガムは捨てるの面倒だから、飴とかかなぁー」
女子「えー、ゴミ出るじゃん。
アタシ、ポッキー持ってこーっと」
一年生は明日から一泊二日の宿泊学習である。
そのため、話題がバスの中で食べるお菓子に向けられるのは自然な事だ。
遥「ん?」
遥は先ほどからずっと机に突っ伏したままの男子を見つけた。
遥「なあ、あの男子は何してるんだ?
残ってる男子はもうアイツ1人だろう?」
クラスには他に女子しかいないが、静かで存在感が無かったために今まで気付かなかったのだ。
女子「ああ、犬飼君でしょ?
アタシ帰宅部だからいつも残ってるけど、毎日電車までああしてるよ」
遥「アイツも帰宅部か?スポーツが苦手には……見えないこともないな」
この高校がある場所はかなり地方なので、電車と電車の間は30分くらいある。 そのため、帰宅部の生徒は教室に残って暇を潰すというのが習慣化しているのだ。
遥達が話を戻して間もなく源は起き上がり、スタスタと教室を後にする。
その時、顔がチラリと見える。
遥(目つき悪いな……)
それが第一印象だった。 席の関係もあって今までまともに見たことがなかったが、寝起きにしては驚くほど鋭い目つきをしていた。
遥「まあ、いいか……それで、あのコンビニのプリンは他のとは一線を画す……」
遥はすぐにこだわりのお菓子へと話を戻し、気にも止めなかった。
最初のコメントを投稿しよう!