月下の邂逅

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翌日 A組はバスで旅館を目指していた。 宿泊学習といっても生徒間の交流が目的だ。 行き先も観光地ではない。 それでも一応はグループ別に行動し、ほとんどの活動時間が自由行動にあてられている。 「よーし、それじゃ今からグループ分けな。 くじ引いて、男女各三人のグループに分けるぞ」 担任教師がグループ分けのくじ引きを忘れていたため、移動の時間を利用してくじを引く。 結果、遥は昨日話していた女子2人と同じグループになった。 因みに2人の髪色は黄色とオレンジだ。 他の男子メンバーはリーダー風の赤髪に、チビの黄髪、そして灰髪……源である。 赤髪の赤井が率先して地図を持ち、博物館や美術館など定番の施設を回る。 小林「なぁ、オレなら小学生料金で入れるんじゃ……」 赤井「やめとけ、親同伴じゃないと怪しまれる」 小柄な小林が童顔を使って小学生料金で入ろうとしたが、赤井が止めさせた。 源も横で気怠そうに頷く。 散策中も髪色のせいでかなり目立つのだが、不良に絡まれたりナンパされたりしても赤井と遥が上手く切り抜けた。 女子「遥、やっぱ頼りになるー! 赤井君もなんかカッコいいかも……?」 日が暮れる頃になると、女子2人は小声でこんな話をし始めた。 遥「そうか?」 女子「おー、謙遜しちゃってー。 うりうり」 遥「いや、そうじゃないんだが……ってコラッ! やめろ!」 遥はくすぐってくる手をかわしながら、先頭を歩く赤井の背中を見ていた。 赤井はスポーツマンらしいがっしり体型だが、あとの2人はチビの小林に帰宅部の犬飼だ。 複数の不良とケンカになったらただでは済まないだろうが、赤井の態度は挑発的だった。 遥(周りのことを考えてない……威勢がいいだけで、リーダーには向かないタイプだな) 遥は今日1日のことを振り返っていた。 遥(……まぁ、何も問題が起きなかったからよしとするか……)
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