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「「…え」」
あまりにもびっくりしすぎてアルケインとハモってしまった。
まさかメリ様がこの事件の黒幕だったなんて。
「敵国の呪いとかじゃなくて…」
「あたしが作った薬が原因だね」
メリ様曰く、あまりにも暇だったため暇潰しに献上されたネコの実で作った薬をワインに入れたらしい。
そしてそれを飲んだアルケインとネフィーに猫耳が生えた、と。
そういう事らしい。
そういえば昨日アルケインが千年伯爵を持って"今日陛下と晩酌するんだよー。珍しく千年伯爵が献上されたからね"なんて言ってきた気がする。
メリ様は通りすがりにそれを聞いたのだろう。
そして千年伯爵に薬投入。
…最早溜息しか出てこない。
「…それで、治し方は?」
「それなんだけどねぇ…フェルトが面白がって変な術かけちまって…」
「まっまさか戻らないとか!?」
「いや、戻らない事は無いんだけど…」
「勿体振ってないで早く教えて下さいよお!」
「分かった分かった!落ち着いて聞きなよ?」
アルケインに急かされたメリ様の口から発せられた言葉に、ぼく達は再度驚いたのだった。
「………アキとキスすりゃ治るよ」
「「…………はぁ!?」」
「嘘じゃないからね」
「ええ…いや、僕は大歓迎なんだけどね?」
そう言ってにじり寄ってきたアルケインを張り倒す。
「きもい」
「酷い…」
「ま、気長に頑張りな」
そう言ってメリ様はまた部屋に入っていった。
「…はぁ…」
まさか必死こいて探した方法がこんなとは…。
今度フェルトさんに虫投げよう、そうしよう←
そんな事を考えていると、不意にアルケインに声をかけられた。
「ねぇアキ君」
「な、に…」
ちゅ。
振り向いた瞬間、唇に何か冷たくて少し渇いた何かが当たった。
それが場の空気に合わない可愛い音を立てて離れていった後、たっぷり三拍程間を空けてやっと理解した。
それがアルケインの唇だった、と。
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