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「…暇だ─────」
紅髪の彼、朱雀は畳の上で寝そべりながら唸る。
ここは神界にある四神の屋敷、朱雀の間。
ようは彼の自室。
彼の主、芙蓉は最近自分以外の奴等ばかり喚ぶ。
「平和ってのも考えものだな」
(どんくらい会ってねえんだ…?)
指折り数えるが、途中で馬鹿らしくなって止めた。
「ったく…」
ごろりと寝返りを打つ。
「淋しいのー?」
「!!」
鼻先一寸に顔!!
「この…!!」
突然のことで彼も驚き、拳を突き出す。
体を反らした奇妙な態勢でそれを避けると、彼はけたけたと笑う。
「白虎てめえ、俺の部屋で何してやがる!!」
「僕も暇なんだよう」
「ああ?自分のとこいろよ」
暇潰し。そういって笑う少年を一瞥すると、
朱雀はいらいらと髪を掻き上げ、
煙管で一服するために起き上がる
「いらいらするのも分かるよう、芙蓉のこと大好きだもんね」
「う、うるせえ!んな訳ねぇだろ」
にやにやと笑う白虎。
「そんなこと言ってえ、恥ずかしがり屋さん♪」
─ぷつんっ
朱雀の中で何かが切れた。
「ああ!!うざってえ!!」
「あう、やべっ」
とっさに逃げ出す白虎。
すぐにその後を追う朱雀。
「てめえ今日こそは丸焼きだ!!」
「でっきるっかなあ♪」
火と風のおいかけっこが始まった。
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