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碁盤状の都を駆け回る。
神界の彼らが住む場所は、条坊制になっている。
まるで平安時代の都だ。
「ほらあ!捕まえてごらんよう」
白虎は楽しむ余裕を残しながら逃げている。
やはり四神最速は伊達ではない。
「くそ…がぁ!」
朱雀は火の玉を作ると、前を走る白虎に投げ付ける。
「うっわ!!反則だー!」
「うるせー、俺は本気だ」
慌てて避ける白虎を見て不敵に笑う。
風と炎の応酬だ。
「あーあー、またやってるよ」
「物好きですわねえ」
ふたりが茶屋の前を駆け抜けていくと、
音を聞き付けて、この世界にすむ他の神々が見に来た。
そのおいかけっこはほぼ日常と化しているようだ。
「おい、あんたんとこの二人だよ」
茶屋の主人がひとり長身の男に言う。
呼び掛けられた本人は呑気に団子を頬張っていた。
「んー?ほっときなさい」
興味もなさそうに、男・玄武は言った。
─どおおん
少し離れたところで爆音があった。
火柱が上がる。
「あらら、やったな」
「げっ、俺んちじゃねーか!!」
「御愁傷様」
どうやら山を支配する大山祈神(オオヤマツカミノカミ)の家を燃やしてしまったらしい。
彼以外は笑っている。
火と風。
お互いを強くすることもある関係にある。
まあ、いつも喧嘩ばかりで悪い方にばかり転ぶが。
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