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「玄武さん何とかしてくれよー」
大山祈神が泣き付く。
それでも玄武は優雅に茶を啜る。彼が、すい、と指を振った。
「「ぎゃ────!!」」
すると、向こう側で悲鳴がした。
「いやー!!」
「んだこりゃ!玄武だな!?」
そこには手足を縛られて動けなくなった悪餓鬼ふたりが転がっていた。
「家はこっちでなんとかしよう」
悲鳴を聞いてみんな爆笑する。
玄武はその中で立ち上がり、大山祈神に言う。
「お、おう」
「それじゃ、ご馳走様」
茶屋の店主にそう言うと、ゆっくりと歩いていく。
悪餓鬼を回収しなくては。
「…懲りないねぇ」
彼がそこに着いたとき、呆れて呟いた。
「痛えって、止めろ馬鹿猫!」
「僕の心はもっと痛いんだよう」
白虎が朱雀に噛み付いていた。
「あっ、玄武ー!聞いてよ!」
「早くこれ解け!!」
ぎゃんぎゃん煩いふたりに溜息を吐く。
「よいしょ」
「高いー!!!」
「っ何すんだてめえ!!」
二人を肩に軽々と担ぐと、玄武は歩きだす。
「今日はやりすぎたね」
びくっ、と二人が固まる。
「青龍のお説教だな」
にっこりと笑う玄武。
「…勘弁しろよなあ…」
「うえー…」
急に萎れたふたりは、屋敷まで無言だった。
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