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──ちりいいん
─ちりいん
愛の説教中。
不意に高い鈴の音が鳴り響く。
この鈴の音は芙蓉の思考と関係がある。
四神の力を必要とするとき、彼らに聞こえるのだ。
芙蓉が必要とするものを黒い蝶が呼びに来る。
そして屋敷の奥にある門を通り人間界へと向うのだ。
(俺であれ…!!)
朱雀は喚ばれてるのが自分であることを願った。
そうすればこの場から逃げられる。
ひらひらと頼りなく飛ぶ黒蝶。
(最悪青龍で…)
しかし悲しいかな、蝶が止まったのは彼の隣、白虎の肩だった。
「ぃよっしゃー!!」
ぐっと拳を握ると白虎は青龍に言う。
「あお、僕行かなきゃー」
「早く行ってあげなさい」
立ち上がって駆け出す白虎。
足が痺れたのか変な足取りだ。
部屋を出るとき、
ちら、と朱雀の方を見ると彼は小さく言った。
「(ざまあみろ♪)」
「っ、あのやろ!!」
─がくん
追おうとした瞬間、襟を掴まれ首が偉いことになる。
「君は、まだですよ」
悪気のない笑顔は朱雀を固まらせた。
(あの馬鹿早く俺を喚べ…!!)
虚しい叫びが届くことはなかった。
─その説教は何でも
白虎が帰ってくるまで続いたとか………
これにて
「おにごと」
了
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