殺人兵器となる日

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西暦2999年。 行き過ぎた化学のせいで人の住めるような土地はなくなり、 人々は土地の取り合いで戦争を始めてしまっていた。 ――薄暗い研究室のような部屋の中、 私は目を開ける。 ここは、どこ……? 身体は拘束されていて、身動きがとれない。 鉄臭い、湿気のこもった部屋だった。 私……これからどうなるんだろ…… 薄暗いせいで、部屋の中の様子が今いち分からない。 多分、そんなに広い部屋ではないと思うんだけど…… ……なんか怖いな。 とりあえず、これが、私のこの部屋に対する率直な感想だった。 ……あれ? 私は耳を澄ます。 『コツ……コツ……』 なんだか足音が聞こえる…… 私は更に耳を澄ました。 すると、聞こえてくる誰かの話し声。 「……一体、国はあと何体殺人兵器……いや、アンドロイドを造れば気が済むんだろうな……」 「さあな。浅木(アサギ)博士も気の毒なもんだぜ」 「な……。誰が好き好んで人体改造したいっていうんだよ……天才ってのも不幸なもんだよな」 ――さーっと、血の気が引いていく。
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