殺人兵器となる日

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「何よ……それ。やめてよ! 私に触らないで!」 私は叫び声に近い怒声をあげる。 男はそんな私の口にガムテープを貼った。 ……喋れない。 私はそれでも、言葉にならない声をあげ続けた。 男はそんな私を無視し続けて、部屋の隅のほうで、カチャカチャと何かをいじっていた。 ……それからしばらくして、男は鋭いメスを手に私に近付いてきた。 次の瞬間、私は愕然とする。 なんと、男は麻酔もなしに私の腹に切れ込みを入れたのだ。……何の躊躇いもなく。 とろりと血液が腹を伝る、何とも言えない感覚を覚えた。 ……痛くて、痛くて。 私は狂ったかのように泣き喚いた。 男はそんな私の姿すらも無視し、事務的な動きで次々と私の身体にメスを走らせ続けた。 ――ずるり。 やがて内臓を取り除かれるような感覚がして、私は気を失った。
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