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――それはどこか聞き覚えのある名前だった。
「“七海”……?」
「君の名前だよ」
「私……の名前?」
男は小さく頷いた。
――“七海”。
そういえば私、そんな風に呼ばれてたっけ……
男は私のそばに歩み寄る。
そして、私の頬を両手で優しく包んだ。
無意識の内に肩がビクンと震える。
「さ……触らないで……!」
「僕は……、もうこんなのは嫌なんだ……」
「? 何言ってるの……?」
わけが分からなかった。
この男は……何について話してるの?
「……君みたいな子に、僕はひどいことを……」
「……何、それ。そう思ってるなら、なんであんなことしたの?!」
わたしの脳には、先ほどの残酷な映像がフラッシュバックしていた。
男は、苦しそうな顔をし、言う。
「……君の身体はもう、立派な殺人兵器だ。内臓も無いし、記憶も消去した。
だが、君には人としての感情を残しておいたんだ。君は殺人兵器……アンドロイドだが、他のアンドロイドとは違うんだ」
――わけが分からない。
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