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「さっきから何を言ってるの?! 意味分かんない!」
私は男の哀しそうな瞳を見つめる。
――どうしてそんなに哀しい顔をするの?
どうしてこんなにも私に触れる手が優しいの?
何もかも……分からなかった。
「……ねえ、どうして、私はこんな所にいるの?! どうして殺人兵器になんてならなきゃいけなかったの?!
……私が……何をしたっていうの?!」
抱え込んでいた疑問が私の中で爆発した。
暴走する口は、止まらない。
「ひどいよ! 帰らせてよ! 私は誰?! どうして記憶を消したりしたの?!
……あんたなんか、大嫌いよ!
私は国のオモチャなんかじゃないし、誰に何と言われたって、人殺しなんか絶対しないっ!!」
「…………」
男は、黙っていた。
私はそれがもどかしくて、更に言葉を発する。
「どうせ、国は私のことを殺人兵器にして、戦争の為に使おうとしてるんでしょう?! 私、聞いたんだから!
……ねえ、何とか言いなさいよ!!」
私は無意識の内に男の胸ぐらを掴んでいた。
男は余程苦しいのか、顔を歪める。
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