1人が本棚に入れています
本棚に追加
ふいに、男は笑った。
子供のような、無邪気な顔で。
「……はは、流石はアンドロイド。力が凄まじい」
「……はあ?!」
私は男の態度に拍子抜けして、思わず手を離してしまった。
その途端男は、苦しそうな咳を繰り返した。
ふと男の胸元を見ると、服が裂けてボロボロになっていた。
――私……、服が破れるほど力入れたっけ……?
そんな風に男の服を見て呆然とする私に、男は笑いながらこう告げた。
「……筋肉も特殊なものに改造したからね。君は今、人並み外れた最強の力を手にしている」
「え……?」
「……それにしても、嬉しいよ。君には人として当然の感情が、きちんと在るんだね。……よかった」
男は本当に嬉しそうに、目を細めて笑う。
「謝って済む話じゃないけど、さっきは本当にすまなかった。
……あの改造室には監視カメラが付いているから、ああやらざるを得なかったんだ」
男はそう言って、私の頭を撫でた。
頭を撫でられたのなんて何年ぶりだろ……
記憶がきちんと無いからあまり分からないけれど、決して不快なものではなかった。
最初のコメントを投稿しよう!