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「美里奈は今、大変な事になってます。それに関係してるんですか?」 柊斗は男に対する恐れを隠しつつも、気丈に問いかけた。 「あー、多分関係してますねぇ。こちらも今大変ですからねぇ。」 …第三者の俺からすると、この男絶対適当に答えてると思う。 柊斗が付いてきてくれれば、なんでもいいんだろう。 「柊斗に用があるなら、ここでちゃっちゃと済ませたらいいじゃないですか!」 「…なんだと。」 男が俺を睨み付ける。 こう言っちゃあなんだが、奈良代表よりは怖くない。 もし代表が本物のヤクザだとしたら、こいつはただのチンピラだ。 俺と男の言い合いで、立ち止まってこちらを見る通行人が増えていく。 その中に、見覚えのある人影を見つけた。 小太りの金髪で、くたびれたスーツの男。 …数日前に、俺の足払いを喰らって地べたに顔面強打した男。 零士さんに、美里奈をとっただろとか何とか喚いていた男。 口と右頬の辺りが、赤黒い。 美里奈。 道理で聞き覚えがあると思った。 「てめぇ何ボーッとしてんの?なめてんの?」 「幸村!危ない!!」 何かが空気を切る音が聞こえた。 俺にとっては聞き慣れた音。 この音が聞こえた時は、俺は条件反射で左腕を振り上げる。 パシィン! 乾いた音がした。 俺の左腕に少しだけ、痺れが走る。
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