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「柊斗、アイツ知ってるの?」 俺は小太りを指差した。 柊斗はコクリと頷く。 「…ああ。あんまり、会いたくなかった奴だけど。」 謎のチンピラの正体が予想ついたからか、柊斗の目から恐れの色が消えていった。 両膝の痛みが少しは治まったのか、チンピラがゆっくりと立ち上がった。 「…チッ。美里奈って女のツケ、テメェに肩代わりさせるかと思ったが。こうなりゃ意地でも女の方を取っ捕まえて殴るかヤるかしてでも払わせるしかねぇな。」 チンピラがニヤニヤしながら物騒なことを言い放つ。 やっぱりろくなことじゃなかった。柊斗をひとりで行かせないで正解だった。 「そんな…!美里奈はもう、純とは掛けも全部キッチリ払ってキレイさっぱり別れたって!」 「それがねぇ、あちらの方はシャンパンタワーその他諸々合わせて300万、まだお支払いしてもらってないとおっしゃってるんですよ!ねぇ!?純さん!」 絶望の表情でチンピラに問いかける柊斗。対してチンピラは奥の手で勝ち誇ったような顔をしている。 今まで傍観していた小太りホストもこちらに近づいてきた。 「お前みたいな髪型だけのブサイクに…美里奈は…。てっきり零士だと思ってたがな。」 「なんだとぉ!?」 マズイ。柊斗もキレそうだ。 柊斗をなだめようとした瞬間、俺の肩は誰かに思いっきり押された。
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