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肩を押された俺の視界が、ぐらりと揺れた。
誰だと振り返るまでもなく、俺の後ろから伸びてきた木刀と不動明王のようなオーラで悟る。
奈良代表が来たんだ。
奈良代表の木刀が、呆気にとられた顔のチンピラの喉元を狙っている。
あれ…木刀?竹刀じゃなくて木刀!?
額に、冷たい汗が一筋垂れた。
武器の攻撃力上げてきたのか!?
「お前…ウチの従業員になんの用だ?」
さっきまで戦闘態勢だったチンピラと小太りがたじろぐ。
それぐらい声はドスが効いていた。
恐る恐る奈良代表を振り返って見てみると…。
今日はゆうたろうみたいなデカいグラサンにピカピカのゴールドスーツ。
ブラックのシャツにネクタイはショッキングピンク!?
こ…これは色んな意味で恐ろしい。
「いや、その…。そっちの知り合いに用があって…。…お前はここのケツモチか?」
「だぁれがケツモチかっっ!?あ゛ぁゴォラッ!?」
バキィ!
俺は反射的に目を瞑ってしまい、身もすくんでしまった。
…恐る恐る目を開けると。
地面には脳天をどつかれたのか、昏倒してうつ伏せになっているチンピラがいた。
小太りは腰が抜けたらしく、老いぼれの野良犬のようにゆっくりと四つん這いで逃げていく。
「おおっといけねぇ、話聞く前にヤッちまった。…まぁ、えぇわ。ケツモチ呼ばわりする方がわりぃんだ。」
代表はノシノシ、と店へ戻っていく。
「…幸村、俺らも行こう。」
柊斗がポン、と俺の肩に手を置いた。
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