先輩

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          私、加賀依砂は何でここまで弱いのかと思う。       さっきだって先輩が私に飲み物を頼んだとき少しでも勇気を出して断ればいいものの私はというと……       「は……はい、分かりました。分かりましたからそこで飼い主を黙って待つ忠誠心の固まりのような犬みたいに待っていて下さいぃぃぃっ」       とか余計な言葉まで付け足して……しかも何が飲みたいかも言われ無かったから何を買えばいいか自動販売機の前で30分も悩んでしまった。       多分先輩のところに戻ったらさっきの言葉といい時間といい叩かれることは確実だろう。       ……………ほら、噂をすれば何とかと言いますでしょうか……先輩が仁王立ちして私を見てるし……。       あぁ、何か走れとかほざきやがってます……それに従って一生懸命走る私は何なのでしょうか。       しかもありえない程体育能力が無い私はすぐに疲れはてさっきまで一生懸命振っていた両腕も今やだらしなくダランっ、と下がり始めてきた。    
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