先輩

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          「テメェ……そりゃどういう事だ……あぁ?」       今だ私を睨み付けてくる先輩の目を反らした。       「あの、こ……これ差し上げますから……」       恐る恐るさっき押し返された缶ジュースを先輩の前に出す。       「だーかーら、これ温いんだよ。んなジュース飲みたくねぇよ。」       「でも、そんなに温くないですし……これどうしろって言うんですか……。」       先輩は頭を一掻きすると私を指した。       「お前が飲めば良いだろ。」       ……あぁ、多分先輩はあれだ       優しい。       多分元々これは私に渡すつもりだったんだ。       でも、自分から私にあげる何て普段の先輩からしたらありえない事だし……多分先輩自身、とても照れ臭い事なのだろう。       だから私が飲み物を買いに行くときお金だけ渡して何の飲み物が欲しいかも言わなかったし温いだ何だ、と言って私に押し返したんだ。       そう思いながら感謝の気持ちを込めて先輩に微笑みかけたら「気色悪いわ」と言って頭をグーで殴られジュースも奪われた。       ……………やっぱり前言撤回です。  
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