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ニコニコしながら話す少女。
(言ってる意味がわからん。こいつ、正気か?)
亜希は少女に不審な目を向ける。少女は亜希のそんな目を気にせず、続きを喋る。
「それで、やってもらいたいことはね」
少女はそこで一旦言葉を区切る。ニコニコとした笑顔をすっと消し、亜希を冷めた感情のない目で見る。
「神サマをね、ちょっと殺してほしいの」
「……は?」
少女の言葉に、思考が止まる。呆気にとられ、言葉が続かない。
「だから、神サマを殺してほしいんだって」
少女の雰囲気はさっきと変わらない。冷たくて、何も感じることの出来ない瞳。
急激に周りの気温が下がった気がした。それは気がしただけで、実際に下がった訳ではないのだが、亜希にはそう感じられた。
(こいつの目、雰囲気からすると冗談じゃねーみたいだが……神サマなんてホントにいんのか? ……いや、こいつがホントに地獄から来たってんなら、神サマがいたっておかしくない、か……?)
それにしたって突拍子もないことを。
それに、全てを判断するには情報が足りなさ過ぎる。
(こいつから情報を聞き出すか)
「人に頼み事をする前に、まずはお前の名前を教えろ。話はそれからだ」
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