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少女はまたニコニコとした笑顔に戻る。まるで仮面を被ったみたいだと、亜希は感じた。
「そだね……私は地獄から派遣された第一級悪魔のセシル。ちなみにこの名前は本当ね。パラディンとかじゃないよ、別に。大魔王サタン様の命令で亜希君を召喚しようとしました」
召喚自体は失敗しちゃったんだけどね、と笑う。
「俺にその神サマってのを殺させる理由は? てか神サマなんてのはホントにいんのか?」
「神サマはいるよ。大魔王サタン様と対を為す存在【主神オーディン】がね。それでね、神サマを殺させる理由なんだけど」
「なんだ?」
「サタン様がオーディンのことを嫌いだからだよ」
相変わらずニコニコと貼付けた笑顔で喋る少女――セシル。
セシルが言った言葉に亜希は溜息をついた。
「――全っ然信用できねえ。最初から最後までなんも信用できねえ」
セシルに向かって指を指す。自分より背の低いセシルに対して、見下した態勢になる。
「まずテメーの存在から信用できねえ。地獄? 悪魔? テメーは頭狂ってんのか。どこの電波ちゃんだテメーは。それから大魔王サタンってのも信用できねえ。俺が信じる大魔王はバーン様だけだ。そしてオーディンの存在を認めさせたいなら俺の目の前にアーリィ、レナス、シルメリアの三人のヴァルキリーを連れてこい」
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