プロローグらしきもの

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もしくはニーベルンの指輪でも可、と付け足す。 亜希のその言葉と態度にセシルは一歩下がってしまう。確かに自分は胡散臭いと、自分自身で思ってしまう。 たが、セシルも引けないのだ。 「そ、そんなの連れてくるなんて無理だけど、でも、私が言ってることは――」 本当なんだよ、と続けようとしたが、亜希の発した言葉によって遮られてしまった。 「だが、気に入った」 さっきの何も信じていない顔を引っ込め、口角を吊り上げ笑う亜希。美人なのに、その笑い方のせいで台なしだった。 「そのサタンの言葉が気に入った。嫌いだから? 大いに結構じゃねーか。やってやるよ」 「ほ、本当に!?」 「ああ、やってやるよ」 その言葉にセシルは安堵する。そしてこの人を選んでよかったと。 勿論、オーディンを殺す理由が「サタンが嫌いだから」等というふざけた理由ではない。本当はもっとちゃんとした理由があるらしいのだが、自分には知らされていない。 亜希は馬鹿ではない。その逆で天才だ。たぶん、自分が言った嘘も自分が何も知らないこともわかった上で引き受けたのだろう。 「ありがとう! 助かるよ、亜希君!」 自分とは少し離れた前方で、この世のものとは思えない会話がされていた。  
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