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自分の身体をまさぐる。
胸を触る。下を触る。
ある。ない。ある。ない。ある。ない。ある。ない。
(ほ、ホントに女になってる……)
あまりの出来事に混乱する。今日の朝までは確かに男だったはずだ。
トイレでそれは確認されたし、胸もなかった。ついでに言うなら、首にかかる髪ももっと短かったはずだ。
何が原因だ? なんでこうなった? そしてここはどこだ?
「アンタ、私の言葉に被せないでよ!」
ゼロの使い魔のような状況は別にいい。自分はサイトのような家族なんていないし。
「平民の癖に私の言葉を無視するなんていい度胸じゃない!」
たが、自分がここに飛ばされたのには理由があるはずだ。
「ちょっと、アンタ私の話聞いてんの! ねえ!」
何か、理由が……。
「もうあったまきた! アンタなんか殺してやるわ!」
「ア、アミリア殿下! 杖をお収め下さい!」
(ん……?)
思考に耽っていた頭を戻す。前を見ると桃色の少女が杖をこちらに向け、何かを唱えていた。
「――お前なんか、嫌いだー!!」
そんな怒声と共に杖の先端から轟々と燃える火の玉が飛び出してきた。
「うぇえ!? そこは爆発するとか失敗するとかしようよ!」
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