初めての戦場――執事系編

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「まあそういうことだ。準備しとけよ? ああ、あといつか俺の部屋来いよ、金やるから」 「了解であります!」  ビシッと敬礼をするセシル。  そんなセシルを尻目に、俺は部屋に戻った。  ガタゴト揺られて早数時間。俺は今オビニオン砦に向かう馬車に乗っている。  今なら車の偉大さがよくわかる。馬車はダメだ、揺れるし固いし遅いしで、乗ってるだけで疲れる。  ああ、車のシートが懐かしい。初の国産自動車の昴でいいからこの世界に欲しいわ。  目の前の座席に座る桃色の髪の王女と紅色の髪の勇者を見遣る。そいつらはまったく動じた様子もなく、疲れた様子もなく馬車に揺られていた。  なんでこいつらは平気なんだよ。おかしいんじゃねーか? もう人間じゃねーよ。  ちなみにセシルはとっくに俺の隣で死んでいた。「うぁー……ニルヴァーシュ、ニルヴァーシュが欲しい……」とかなんとか呟いている。俺も欲しいわ。 「アンタらだいぶお疲れのようね。そんなに馬車での移動は疲れる? 意外と言えば意外なんだけど……」 「セシルはともかくとして、亜希まで疲れるとは私としても意外です。亜希はあまり馬車に乗ったことがないんですか?」  
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