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「一体、どういう事だ?」
署に戻ってきた澤井は、写真を片手に白金の髪を掻き毟った。
「そんなに掻くと禿げますよ」
デスクで報告書を書いていた配島が注意した。つい二日前に澤井がトイレの鏡を黙って覗き込んでいるのを目撃したばかりだからだ。
「じゃかあしいわ」
すかさず澤井が、配島の後頭部を叩こうとしたが配島は身体を捩って、これを除けた。
「僕だって予測できれば、ちゃんと除けられるんです」
自慢気な笑みを浮かべたが、それも長くは続かなかった。あっという間に、澤井の太い腕に捕まり、強力なヘッドロックをかけられていた。
「痛い痛い。澤井さん、痛いですってば」
配島は焦って、澤井の腕をタップして降参の意思を示した。
「だーれが、放してやるもんか」
澤井がぐいぐい絞め続けるので、配島は涙目になっている。
「スイマセンでした。もう二度と言いませんから、放してくださいっ」
「わかりゃ、いいんだよ。わかりゃ」
やっと解放された配島はぐったりとデスクの上に突っ伏した。
「で、何があったんですか?」
確り、事の起こりとなった澤井の言動は覚えていた。
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