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「今月に入って三件目ですね」
死体の横にしゃがみこんだ配島が、眉間に皺をよせて呟いた。
「それにしても非道い」
若者であった筈の、その死体は百を越える老人のように痩せ細り、干からびていた。
身体中の体液が、まるで一度に蒸発してしまったかの様な、半ばミイラ化した死体。血液は一滴も残されていない、ホラー映画じみた事件。
八月の初めに最初の犠牲者が発見されてから、既に3ヶ月が経とうとしている。見つかった血液の無い死体は全部で9つ。
被害にあったのは日本人が5人。
イギリス、韓国、フィリピン系、アラブ系がそれぞれ1人ずつ。
年齢は下は15歳から二十代、三十代、上は47歳まで。
国籍も年齢もマチマチでこれといった手がかりも無い。
共通点は2つだけ。犠牲者はいずれも男性であるという事。
そして皆、大量に血液を抜かれている。という事だけ。
身体に残った血液の量も、ほぼ0に近い状態から30%近くまでと、バラけていた。
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