ヒカラビタ夜ノ肢体

2/5
前へ
/504ページ
次へ
「今月に入って三件目ですね」 死体の横にしゃがみこんだ配島(ハイジマ)が、眉間に(シワ)をよせて呟いた。 「それにしても非道(ヒド)い」 若者であった筈の、その死体は百を越える老人のように痩せ細り、干からびていた。 身体中の体液が、まるで一度に蒸発してしまったかの様な、半ばミイラ化した死体。血液は一滴も残されていない、ホラー映画じみた事件。 八月の初めに最初の犠牲者が発見されてから、既に3ヶ月が経とうとしている。見つかった血液の無い死体は全部で9つ。 被害にあったのは日本人が5人。 イギリス、韓国、フィリピン系、アラブ系がそれぞれ1人ずつ。 年齢は下は15歳から二十代、三十代、上は47歳まで。 国籍も年齢もマチマチでこれといった手がかりも無い。 共通点は2つだけ。犠牲者はいずれも男性であるという事。 そして皆、大量に血液を抜かれている。という事だけ。 身体に残った血液の量も、ほぼ0に近い状態から30%近くまでと、バラけていた。image=452877138.jpg
/504ページ

最初のコメントを投稿しよう!

323人が本棚に入れています
本棚に追加