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「ちょっと、澤井さん。聞いてるんですか?」
配島は声のトーンをあげ、振り向いて後ろに立っている澤井を見た。
「あぁ?」
気のない返事をしながら澤井は口に銜えた煙草に火をつけている。
配島は、ウンザリした顔で背の高い上司を見上げた。
「澤井さん、全然やる気無いでしょ?」
ため息交じりに呟く。
「ったりめーだ。コイツのおかげで折角の休みが台無しになったんだからな」
毒づきながら澤井が盛大に煙を吐いたので、配島はゴホゴホと咳こんだ。
「やめて、くださいよっ…僕っ、気管支…弱いんです」
煙に咽て涙ぐんでいる配島を見て、澤井は鼻で笑って片方だけ口角を上げた。
「本当、意地悪なんだから」
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