157人が本棚に入れています
本棚に追加
さて。
ジグが出て行ってしまったのは仕方がない。王様だし忙しいだろうし?
それよりも。
目の前で固まっている侍女さん達。
どうしよう?
取り敢えずは自己紹介かな?そう思っていると、五人の内、年が1番上の貫禄のある女性がすぐに立ち直り私に挨拶を始めた。
彼女はセルマーと名乗り城の侍女長だと言う。何かあれば直ぐに呼んで下さいと頭を下げた。
「姫様にはこちらの二人を。」
「ハルクです。」
「ハルアです。」
フワフワのくせっ毛の赤い髪。目の下には泣き黒子。
右下にあるのがハルク。
左下にあるのがハルア。
そっくりの双子だ。
「専心誠意、姫様に尽くします。」
双子は同じ動作で頭を下げる。息がピッタリで面白い。
所で姫様って私のこと?
姫じゃないんだけどなぁ。唯の・・・不法侵入者ですっても言えないしなぁ・・・
「私はメイファ。別に偉くもないから名前でどうぞ。」
無難に訂正してみる。
そもそも姫って年でもないし。
子供がいるしね。
はぁ、サヤ、泣いてないかな?ママはとってもサヤに会いたいよ-。
「しかし姫様---」
「姫と呼ばれるのは嫌なの。」
キッパリと言う私にセルマーはちょっと困った顔をした。注意深く見てなければ分からないくらいの変化。流石は侍女長だ。
「では、メイ様と。」
様は別に付けなくていいって言いたいけど、受け入れてくれそうにないなぁ。
まぁ、いっかぁ。
自己紹介がすんだあと私はハルクとハルアに連れられて湯浴みをすることになった。
嫌がる私を宥めながら双子は頭から足先まで綺麗に磨きあげていく。
「メイ様の銀の髪の見事なこと。」
「お肌も色白でお美しいわ。」
双子はウットリと溜息を漏らす。
「流石は大王様の御心を射止めたお方。」
「メイ様は大王様が初めてお側に置かれる女性ですのよ。」
へぇ~。
何だか突っ込み所が満載の会話だね。
大王様は勿論ジグの事よね?そして、私は、ジグが初めて側に置く女性?
何故にそのような立ち位置に??
湯浴みが終わるとドレスを着せられる。髪を結われ、薄く化粧も施される。
着ていた動きやすいワンピースは処分されてしまった。まぁ色褪せてたし新しい服欲しかったからいいけど。
最初のコメントを投稿しよう!