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夜。
星を眺める。
この空の下、海を越えた大陸で私の最愛の娘はどうしているだろうか?
初めてだった。
こんなに永く離れたの。
いつも、何処でも一緒だったのに。
「泣いてないかな?」
サヤが泣くのは嫌だ。
でも私を恋しがって泣くのならば嬉しい。
望んで授かった愛しい子。
魔女ではない普通の子。
「魔女は--」
魔女は天に祝福され大地に愛され生まれてくる。
魔女は、虹色の渡り鳥が飛来した大地に生まれる。魔女が生まれた大地は豊かな恵みが長年続き、魔女のいる地は災害にも見舞われない。
魔女とは祝福されし者。
そして、愛されし存在。
「まぁ、万能じゃないんだけどね。」
異能があるだけ。
それぞれの能力も個々で違うしね。
(私の異能は癒し。)
銀の髪と銀の瞳は月の加護を請ける。月は夜に輝く光だ。人々の眠りを見守る光。この大地に生きる全ての物に安らぎを与えてくれる。
「まぁ、いくら月の加護が有ったって全ては無理だわ。」
所詮、人。
感情だってあるし、好き嫌いもある。敵意を向けてくる相手なんか癒してやりたくもない。
「はぁ、サヤに逢いたい。」
今の私に最も必要な癒し。
私自身が誰よりも癒されたいわ。
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