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『――て。』
……誰?
『――リン。』
……誰なの?
『光……、目……て。鈴。』
…………。
ジリリリ
朝。とある一戸建ての家の一室に、アラームが鳴り響く。
その一室にて眠る少女が、ベッドの上でモゾモゾと動き、音源へと手を伸ばす。
しかし、目覚まし時計は机の上。ベッドから起き上がり、少なくとも三歩は歩かなければ、アラームは止められない。
リリリベレリレリレリ
二つ目の目覚まし時計が鳴り出した。
アナログの目覚まし時計達は、御主人が止めてくれるか、時間がくるまで騒ぎ続ける。
「……は、~~」
少女がやっとこさ目覚めて、だらしなくも大口開けて欠伸一発に、背伸び一回。
そして、ベッドから起き上がり三歩歩いて二つのアラームを止める。
「む~。八時かぁ。………八時? 今日は水曜で、あ。...あぁぁぁぁ! 朝練んん!」
即行でパジャマを脱ぎ捨てハンガーに掛かっていた制服に着替え、鞄とセカンドバックをひっ掴み、昨夜から開けっ放しの扉をくぐる。
一階に下り、リビングの籠にある食パンを袋ごと持ち、急ぎ玄関へと走る。
鍵をかけ、自転車にカバンとバックを無造作に入れて走る。
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