第壱訓:夢出逢い

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「……ひ、光。驚かすの止めて。心臓に悪いから」 「ふふん。くノ一光ちゃんをなめるなよ? 人の背後をとり、抱き締めるなど朝飯前よ」 「いや、なめてないから」 黄楼鈴のクラスメートその一、白藤光の言葉を軽く受け流し、抱きつく光を引き摺りながら教室に入る。 と、そこで話し掛けてくる女子生徒が居た。朝の女子生徒、鈴のクラスメートその二、西坂夏奈だ。 「鈴っ。おっはよう」 「あ、夏奈。おはよう」 「朝さぁ、食パン落としてったでしょ。はい」 「えっ、ありが...二枚足りない」 「ごちそうさま」 「夏ー奈ーっ!」 「ぃよっ、龍樹」 三階廊下にて、青川龍樹は後ろから声を掛けられた。 龍樹が声のした方へと向くと、そこには白髪の男子生徒が、へらへらしながら歩いてきている。龍樹のクラスメート、白藤虎轍。 「ああ、虎轍。はよ」 「ぃんやぁ、朝一番で妬ける場面、見してくれてありがとぅ。彼女居ない歴イ・コ・オ・ル年齢のこの俺への当って付けかなぁ?」 その言葉に、龍樹は溜め息をつき、「くっだらねぇ」とこぼす。 「んな事して、俺に何の得がある? それにだ、恋人が居ないのは俺も同じなんだしよ」  
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