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ドゴォッ――!という爆発音とともに、少年が走っていた道には炎が舞った。
間一髪のところで飛び避けた少年が、炎の先を睨む。
「あ…危ねぇだろっ!」
炎の塊を打ち出した人間は口角を僅かに上げた。
170cm程度の身長、細身の身体、長い黒髪、赤い瞳、黒いローブ、同じく黒いフードを目深に被った男だった。
「いい加減諦めたらどうですか?
我々からは決して逃げられない」
「うるせーっ!死ぬと解ってて誰が捕まるかっ!」
それだけ叫ぶと、少年は立ち上がり走り出した。
黒いフードの男に背を向けて、また一心不乱に走り出す。
フードの男は呆れたようにため息をついて、
「もう終わりにしましょうか」
と呟いた。
右手を天に掲げ、ふところから一枚のカードを取り出す。
そのカードには円形の中に複雑な紋様が描かれていた。
魔法陣という言葉がピッタリな紋様が。
フードの男が言葉を紡ぐ。
『我、火を借りし者。儚き太陽、数は三、――』
カードの紋様が赤く光る。
天に掲げた右手の頭上で、直径10m程度の炎の塊が三つ出来上がった。
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