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「これが何か分かるか?」
「俺のだ」
「そうだな。
よく斬れる使い込まれた刀だ」
流石にクロナはピクリと反応した。
「武器職人として言いたい事がある。
この刀は武器として申し分ない…
だがそれだけだ」
「それ以外に何がある?」
「職人としては武器を武器と思ってほしくない。
職人は想いを武器に乗せる…
武器は己の手であり魂だからだ」
「何故俺に言う?」
たったさっき会ったばかりの他人でありながらだ。
「コイツが訴えてきたからだ」
コウゲンはクロナの刀を指差した。
しかし、クロナは頭の上にはてなをつけるだけだった。
物としてしか見れないクロナにとってコウゲンの言っている意味が分からないからだ。
「正確には視えるんだよ。刀の傷がな」
「刀だ。当然刃こぼれはするだろ」
「お前、人を褒めるとか苦手だろ?」
「それとこれとどう関係する?」
「人は認められる事で強く信じる…
物も同じように主に認められたいんだ。
そうする事で物は主に忠誠を誓うように裏切る事はねぇ」
クロナはナンバー9にやられた時の事を思い出した。
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