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「つまり物を大事にしろってこった。
話し終わったから寝ていいぞ」
コウゲンは強制的に話を終わらした。
クロナは仕方なく部屋に戻っていた。
コウゲンの言葉がヤケに引っ掛かる…
何か分かるかもしれない…
そんな想いがクロナを留めていた。
クロナが目を覚ましたのは日も上がっていない早朝。
クロナは体の調子を確かめるように手足を動かした。
「……一日でここまで回復するのか」
ウェンディの腕の良さを絶賛したクロナは一階へと降り自然と工房に足を運んだ。
そこには釜の前にじっと座っているコウゲンがいた。
「寝れねぇのか?」
近寄ってきたクロナより先にコウゲンが声をかけた。
「朝だ。
貴様は後ろに目があるのか?」
「当たり前だ」
コウゲンは鼻で笑い分かりきった嘘をついた。
「……何をしている?」
クロナは微動だにしないコウゲンに尋ねた。
「見て分かるだろ。
火ぃ焚いてんだよ」
「視る事で何か変わるのか?」
「加工に最適な温度にすんだよ。
これは視ねぇと分からねぇからな」
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