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ウェンディの手によって敵の脅威は消え去った。
それを目の当たりにしたコウゲンを初めとする男衆は改めてこの人を怒らしてはいけないと心に強く誓った。
「………」
クロナは無言で折れた刀を手にとった。
「…それ捨てて構わねぇぜ」
コウゲンはそう添えた。
折れた刀…
使い物にならず本来の意味を成さない。
そんな物を持っていても意味がないとそう言っているのだ。
「それは出来ない
…物は大切に…だろ?」
まさかクロナの口からそんな言葉がでるとは思っていなかったコウゲンは目を丸くした。
クロナは折れた刀をバラバラに破壊した…
かと思えばそれを一本の刀に精製し直した。
それはよく磨かれた刀と遜色ないほどの精巧な物だ。
「……ハッ!よく出来たじゃねぇか!」
コウゲンは職人としてクロナの刀を誉めた。
「しばらく工房は締めて家に篭ってろ」
「そりゃあ無理な相談だ。
俺たちも技人だ。
それなりに戦う」
市民である前に技人。
技人としての誇りもある。
只、戦いに長けているわけではない…
死にたくないのならちっぽけな誇りは捨てろ…と白斗は言うだろう。
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