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「蓮華…っ!」
置いてかれたはるかはとっさに立ち上がり蓮華の名を呼んだ。しかしその声は彼女に届かず、宙に霧散した。
「お…おい奏崎、席につけ」
はるかは先生の声を無視して蓮華同様席をたった。
「奏崎?!」
「私も頭痛いから保健室!!」
バタバタとはるかは教室を出ていった。
彼女があの夢を見てしまった。その時は彼女を支えてあげなければいけない。それがはるかにできる唯一の彼女にしてあげられることだ。
先生ははぁーとため息を吐くと、いまだ呆然としている生徒を振り返った。
「いいか?あいつらが戻ってきたら誰も話し掛けてくれるなよ!わかったな」
生徒はこくんとゆっくり頷いた。「よし、授業初めんぞー」
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「蓮華!」
はるかは保健室に駆けつけて眠る彼女に近づいた。
彼女はぴくりと反応しゆっくり起き上がる。
「っ…はるか…か?」
「うん。蓮華無理しないで」
労るようにそっと冷えた手のひらを額に添える。
「んー熱はないみたい」
蓮華はふぅとため息を吐き、はるかの手をやんわりと払った。
「鞄…はあるか?」
「もち♪」
ジャーンと鞄を見せつけ、蓮華に手渡す。
「帰ろっか」
「おう。」
蓮華は身支度を整えてベッドから飛び降りた。
シャッとカーテンを開けて保険医に挨拶をした。
「先生…今日俺帰るから」
先生は振り向き、優しげに微笑んだ。
「ええ、無理しちゃだめよ?お大事に」
「ありがとう先生」
「先生ばいばーい♪」
はるかが元気よく手を振り、それを最後に扉は閉まった。
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