第一幕 異人

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「蓮華…っ!」 置いてかれたはるかはとっさに立ち上がり蓮華の名を呼んだ。しかしその声は彼女に届かず、宙に霧散した。 「お…おい奏崎、席につけ」 はるかは先生の声を無視して蓮華同様席をたった。 「奏崎?!」 「私も頭痛いから保健室!!」 バタバタとはるかは教室を出ていった。 彼女があの夢を見てしまった。その時は彼女を支えてあげなければいけない。それがはるかにできる唯一の彼女にしてあげられることだ。 先生ははぁーとため息を吐くと、いまだ呆然としている生徒を振り返った。 「いいか?あいつらが戻ってきたら誰も話し掛けてくれるなよ!わかったな」 生徒はこくんとゆっくり頷いた。「よし、授業初めんぞー」 ―――――――― ―――――――――― ―――――――――――― 「蓮華!」 はるかは保健室に駆けつけて眠る彼女に近づいた。 彼女はぴくりと反応しゆっくり起き上がる。 「っ…はるか…か?」 「うん。蓮華無理しないで」 労るようにそっと冷えた手のひらを額に添える。 「んー熱はないみたい」 蓮華はふぅとため息を吐き、はるかの手をやんわりと払った。 「鞄…はあるか?」 「もち♪」 ジャーンと鞄を見せつけ、蓮華に手渡す。 「帰ろっか」 「おう。」 蓮華は身支度を整えてベッドから飛び降りた。 シャッとカーテンを開けて保険医に挨拶をした。 「先生…今日俺帰るから」 先生は振り向き、優しげに微笑んだ。 「ええ、無理しちゃだめよ?お大事に」 「ありがとう先生」 「先生ばいばーい♪」 はるかが元気よく手を振り、それを最後に扉は閉まった。
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