一人暮らしと霞む存在

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  考え抜いた俺は、もう逆パターンに祈るしかない、という結論に至った。 そう、ミハルはこのアパートがどこか知っている。 俺の通っている大学名だって知っている。 もし、ミハルが生き霊として俺の元に居た頃の記憶が残っているのなら覚えているはずだ。 そして、きっと会いに来てくれる。 会いに来なかったとしたら……ミハルが覚えていないか、もしくは気軽に会えないくらい遠いところに住んでいるか。 あいつが覚えていてくれることに期待するしかないな。 今のところ、俺から起こせるアクションは限りなく少ないわけだし。 どこかで元気にやってることを祈って俺は俺の生活に戻る事にしよう。 ……あれ? 元気なわけないのか。 生き霊として一か月も体をほったらかしにしてたってことは、それ相応の理由が…… もしかして、ミハル、ものすごく大変なことになってんじゃね? でも、俺には知る由もないので気にするのをやめた。 カブ子は何て言ってたっけ。びっくりしすぎて会話内容あんまり覚えてないや。 まあいっか。魂が戻ったなら死にゃしないわけだし。  
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