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「それは、この部屋は昔私達が住んでいた部屋だからだと思います」
「え、そうなんですか!?」
驚いた。
確かにここは築20年というボ……貫禄あるアパートだ。
この部屋に住んでいたのが俺が初めてってことはありえないはずだが、まさかその繋がりからミハルがここに来ていたなんて。
「結婚してから3年ほど……ミハルが2歳になるかならないかくらいまで、ですね。それから一戸建ての家に引っ越したんです」
どうしてミハルは今の家じゃなくてわざわざこっちに来たんだろう。
2歳、じゃ覚えてすらいないんじゃないか?
「それでですね。ミハルが……藤原さんに会いたいと言っているんです。でも、まだリハビリ中でまともに動ける状態じゃなくて」
「行きます。会わせてください。どこですか」
俺は即答していた。
距離? 関係ない。 食費削ってでも会いにいってやるよ。
こうしてミハルがお母さんに話して俺の元まで来てもらうくらいのことはしたんだ。
ミハルが動けないっていうなら、俺だってそれに応えてやるさ。
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