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そうか、俺と違ってミハルには記憶が混ざる、っていう変化があったんだ。
「あっ!?」
そう意味深な台詞を吐いた後だというのに、いきなり素っ頓狂な声を上げる。
それから俺の足元よりちょっと台寄りの微妙な位置を指さしながら、あっさりとこう言い放った。
「ごめんそのアイスあとで食べるぅー。足元のそこ、冷蔵庫いれといて」
「お前に『雰囲気』と『空気』と『ムード』という言葉をプレゼントしてやろう、感謝しろ」
言われたまま、アイスを冷蔵庫の冷凍ゾーンっぽい部分に入れてみる。
ここでいいのかな。いいやもう知らない。
空気読めないミハルなんて溶けかけのアイスで嘆けばいい。
「それでねー! 聞いてよ。まずそもそもなんであたしがマモにぃの部屋に『出ちゃった』のか」
「あー、そりゃ聞いた。昔住んでたんだって?」
「そうそう。無意識のうちに、あたしはあそこを『幸せだった頃』の象徴にしてたんだ……」
……ん?
なんだろう、おばさんからは聞いてない新情報が出てきたぞこれ。
ミハルはちょっとだけ辛そうな顔をして、周りには絶対聞こえないであろう小声で俺だけに呟いた。
「うちの両親ね? 離婚しそうだったの」
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