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「……そなの? てか、俺にそんな話しちゃっていいわけ?」
「むしろマモにぃにしか話せないよ。うち、離婚しそうでずーっとギスギスしててさ……もう修復不可能、限界です、ってなったその矢先にあたしが事故っちゃったんだよね」
そりゃまた恐ろしいタイミングなことで……
「って、そんなときにお前は一カ月も俺の家で、記憶のないまま居付いてたわけなのか!」
「そそ。もー、記憶なくて逆に助かったかもね! 深い事考えなくて楽しく過ごせたわけだし」
……まるで、『本当のミハルの世界』に戻ってくるのが嫌みたいな言い方じゃんか。
戻ってこられて、幸せじゃなかったのか?
ところがミハルはにぃっと笑うと、軽快に締めくくる。
「だけどね? あたしが意識不明になってる間に、あたしという存在が二人を結びつけたの。もう一度やりなおそうって思いなおしてくれたんだ」
「じゃあ……離婚はしなくて済みそうなんだな?」
「そういうこと! 怪我の功名っていうのかな」
自分は事故って一カ月幽霊生活(生きてないからこの言い方が正しいのかどうかは謎)を送る羽目になり、そして今はリハビリ中だっていうのになんて健気なことか……
あの一ヶ月間、ただの考えの浅いアホタレだと思っていた俺を許せ。
もうちょっと賢かったな。
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