-11月- NOVEMBER

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「ごめんね~、  トイレ混んでてさ」 中山が去っていった直後 須藤が慌てて走ってきた 「だいじょーぶ」 「よかった。  ねぇ、ちょっと休まない?」 "疲れたしさ" そう言って彼女は笑った 「いいよ、庭でも行く?  あんまり人いないし」 「そうだね、いこいこっ」 庭に向かっている途中 須藤が思い出したように 「菜々ちゃん、まだいるのかな」 と言った 「知らねー。菜々なんて  どうでもいいじゃん」 どうも俺は"菜々"と言う 名前が苦手なのだろうか 自分で不機嫌になるのがわかる 「山田さー」 「なに?」 「何で菜々ちゃん嫌いなの?」 庭のベンチに座り 寂しそうに聞いてくる 「嫌いじゃないけど、さ…  俺、昔から一緒にいたから  いろいろと知ってるんだよ。  あいつの性格とかさー」 俺もベンチに座り ため息混じりにそう言った 「そっかぁ」 「うん…、てか何で  そんなこと聞くの?」 「山田、菜々ちゃんのこと  なんか避けてるっぽいから  昨日だって菜々ちゃんと  帰るの拒否ってたし…?」 いやいやっ 拒否ったんじゃなくて 須藤を送らなきゃだから 否定したわけで… 「べつにそう言う訳じゃ…」 「何が?」 「な、なにもっ  てか昨日は俺が須藤と  帰りたかったから  拒否ったんだよーだ。」 そう言うと俺は 片腕を須藤の首に回し、 下から見上げるように 須藤を見つめた。 _
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